人間なら誰しも、すべて上手くことが運んで人生が輝いて見える日と、何をしても上手く行かない日、嫌なことがあって落ち込んでいる日があると思います。
我ながら感情の起伏が激しいと思う私の場合は、気分が落ち込んで誰にも会いたくない日、今日一日が一刻も早く終わればいいと思う日が、必ずルーティーンでやってきます。
お酒を飲んだり、友人に話したりするのも、一つの立派な解消法だとは思うのですが、それはまだ軽い症状の時。誰とも話したくない、自分の扉の中に閉じこもりたい、そんな気持ちになる時は、一人で本の世界に逃げ込むことが多い私にとって本は生活必需品ともいえるもの。
最近のお気に入りはバルタザール・グラシアンの「賢く生きる知恵」です。

これはよく巷に溢れている、落ち込んでいる時に
無闇に勇気付ける類の本ではありません。
もっと戦略的でありながら思索に富んでおり、
ある意味人生に対してシニカルな私にはのグラシアンの考え方が合うようです。
これを読むと、いかに自分が感情に流されて抑制を失っていたのか、
その為に自分が窮地に立たされていることや、自分に欠けていて、
これから訓練しなければいけない点などが冷静に見えてきます。
これにより自分がくよくよと悩んでいた事を客観的に受け止めることができ、
明日への対策を立てることが出来るというわけです。
17世紀にスペインの哲学者であるバルタザール・グラシアンによって
書かれた本書は400年もの間、数多くの学者や思想家に生きる指針を
与え続けており、世界中で読み継がれていると本書の帯にはあります。
日本でも違う翻訳者による二つの翻訳本があるようですが、
原書(といっても英語版だから完全なオリジナルとは言い難いですが)を
パラパラと読んでみた結果、私にはこちらの野田恭子訳、
イースト・プレス版の本書の翻訳が感覚的に合うようです。
なにしろ287ものチャプターに分かれているので、
その時の自分の気分に合うチャプターが必ず見つかります。
一つのチャプターはそれぞれ1ページずつの簡潔さも読み易い。
例えば「感情のままに行動しない」「失うもののない人と争わない」
「教養と品格を備える」「能力の限界を見せない」「一人で生きられる」
「ものごとを放っておく術を知る」「強情をはってやりたくもないことをしない」
「最初は譲り、最後に勝つ」「愚かな行動を続けない」
「相手のためだけに生きることはできない」「気が熟したら楽しむ」
「自分の幸運の星を知る」などなど、その時の精神的な状態により、
自分で読みたいチャプターはそれぞれ違うのですが、どんな時にも
人生に対するある種の解答がこの一冊の中に用意されているのです。
魅力的な提言と人生の叡智に充ちたこの本。
中でも私が最も共感し、感銘を受ける言葉は、
「人間は完璧に生まれついているわけではない。
最高の自分に磨き上げるためには、人格や仕事の能力を
日々磨いていかなくてはならない。人間の完成度は思考の明晰さ、
判断の成熟度、意思の固さ、趣味の高尚さなのだ。」
もともとの性格が戦闘的なのかもしれませんが(笑)、
今日も日々未熟な自分をもっと研鑽しなくてはと思う気持ちが、
どんなに落ち込んだ時にも私の生きる原動力となっています。
Recent Comments